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半導体用エポキシ樹脂封止材料の開発
半導体用エポキシ樹脂封止材料の開発
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ナガセケムテックス株式会社
フリップチップ用アンダーフィル材 モバイル機器、小型電子機器を中心に半導体の小型化、高速化にともなうフリップチップ による接続方式の採用が急速に広まりつつある。フリップチップ実装における接続方法は ハンダを用いた金属接続、導電材料による接続、Au-Au 接続等の種々の接続工法があげら れる。また、最近ではハンダの鉛フリー化に対応する必要がある。 ここでは半導体を基板に接続した後に樹脂を充填するサイドフィル材料と材料を先に基板 に供給して半導体を接続する NCP(Non-Conductive Paste)、NCF(Non-Conductive Film) の今後の動向について紹介する。
What is the semiconductor package?
Sidefill Process
1. Structure trend (1) : from Fujitu web
PKG Prebake
Pre-heat substrate
Heater block
Heater block
Dispense
Underfilling
Cure
Heater block
6
Press Bump Process with NCP
Press Bump Process with NCF
Substrate Prebake
Chip Placement
Heat press
Film encapsulant Heat tool
Si film(t0.1mm)
Dispense or Screen Print
substrate
Heat press
Transfer encapsulant to substrate
(3sec@90C)
Mount & Snap Cure
Cover film
Final Cure
Alignment
remove a cover film
14
サイドフィル材、NCP、NCF の特徴と問題点
フリップチップ接続において構造、接続方法は種々存在し、特に接続方法においては封止 材に対する要求特性および工法の違いによる作業性の要求によりサイドフィル材、NCP、 NCF を使い分ける必要がある。 まず、サイドフィル材はバンプ接続後に材料を供給する工法に適しており、従来から検討、 使用されており信頼性と実績において現在の主流となっている。問題点としては樹脂の後 供給と毛細管現象を用いた充填方法による工程の長さである。
近年、Au-Au による接続工法を用いた接続も多数採用されており、上記のサイドフィル以 外の材料および工法を用いる NCP、NCF についての需要も増加している。
NCP、NCF は樹脂を基板へ先に供給をした後に、バンプの接続とともに樹脂を硬化させる
工程をとるため、サイドフィル材に比べ工程の短縮化が図れ、また NCF においては工程を 変化させることも可能となる。
ここではサイドフィル用封止材の紹介と NCF、NCP の紹介、および信頼性評価結果につい て説明する。
・ サイドフィル材(UF 材)
商品名 T693/R3000 シリーズは高速浸入性、速硬化、高信頼性をコンセプトとした材料で あり、サイドフィル材の高信頼性を維持したまま、本工法の問題点である工程の長さを短 縮可能な材料にしている。
現在は半導体の高集積、高速化による Low-k 化に対応すべく低応力 UF 材の開発、および ハンダバンプの鉛フリー化によるバンプ強度の低下を補う UF 材の開発が主流となってい る。表1に汎用(UF-A)、Low-k 対応(UF-B)、鉛フリー対応(UF-C)の材料特性を記載 する。
表1 各種 UF 材の材料特性
項 目 |
UF-A |
UF-B |
UF-C |
外 観 | 黒色液体 | 黒色液体 | 黒色液体 |
粘 度 |
3 Pa・s |
15 Pa・s | 16 Pa・s |
ゲルタイム | 150 秒/150℃ | 190 秒/150℃ | 400 秒/150℃ |
推奨浸入温度 |
80℃ |
100℃ |
110℃ |
硬化条件 | 150℃/1hr | 150℃/1hr | 160℃/1.5hr |
ガラス転移点 |
150℃ |
70℃ |
125℃ |
線膨張係数 |
30ppm |
33ppm |
32ppm |
曲げ弾性率 |
7.2GPa |
7.4GPa |
7.7GPa |
Cl-含有量 | <15ppm | <15ppm | <15ppm |
Na+含有量 |
<5ppm |
<5ppm |
<5ppm |
・ NCP、NCF
NCP である T693/UFR シリーズは従来の液状製品であるサイドフィル材の高信頼性を維持 し、高温での硬化性を高め(240℃/5 秒硬化)、材料の先供給、バンプ接続と同時に硬化が終 了できる反応性を付与した液状封止材料である。
商品名 T693/R6000 シリーズは液状品の信頼性、作業性を有した高信頼性、高流動性を付 与したフィルムである。フィルムであることの利便性(作業性、作業環境等)を生かして 上記 NCP を補完する形で今後の接続工法の変化に対応していく。 今後、さらなる速硬化と低温硬化可能な材料開発を行うことが急務となる。
表2に NCF、NCP の材料特性を記載する。
表2 NCP、NCF の材料特性
項 目 |
NCP |
NCF |
外 観 |
黒色液体 |
白色フィルム |
粘 度 |
15Pa・s |
2000Pa・s @70℃ |
硬化条件 |
240℃/5 秒 |
180℃/20 秒
240℃/5 秒 |
ガラス転移点 |
160℃ |
125℃ |
線膨張係数 |
33ppm |
30ppm |
曲げ弾性率 |
7.0GPa |
7.5GPa |
Cl-含有量 |
<15ppm |
<15ppm |
Na+含有量 |
<5ppm |
<5ppm |
1. NCF/NCP の信頼性評価
1-1 作業性
NCF/NCP においてはサイドフィルとは異なり、半導体と基板を接合する前に材料を供 給プロセスであること、バンプと基板パッド間の電気的接合を材料そのものにて保持する という性質上、組み立て工程が非常に重要である。材料粘度がその接合に影響を及ぼす要 因のひとつとして考えられる。
表 1. 作業性
項目 |
効果 |
ボイド除去性 | 信頼性向上(吸湿リフロー、TCT 特性向上) |
バンプ-パッド間のボイド排出性 | 導通安定性向上 |
フィレット形状均一性 | TCT 向上、小型薄型実装性向上 |
a. ボイド除去性
供給時の噛み込みボイドを極力減らしておくことが重要であるが、NCF においては貼 り付け時に基板パターンに埋まり込むこと、NCP においては塗布時に空気を巻き込まな いことが重要である。
表 2. 粘度 vs.ボイド
NCF 溶融粘度(80℃) | NCP 粘度(室温) | ボイド |
~3,000Pa・s | ~30,000mPa・s |
◎ |
3,000~10,000Pa・s | 30,000~50,000mPa・s |
△ |
10,000Pa・s~ | 50,000mPa・s~ |
× |
写真 1、写真 2 は NCF と NCP のガラエポ基板を使用したボイド発生確認実験結果である。
写真 1. NCF によるパターン埋め込み性(70℃) 写真 2. NCP 空気巻き込み性(60℃)
2,000Pa・s 10,000Pa・s 15,000mPa・s 70,000mPa・s
低粘度の方が埋め込み性良好
b. バンプ-パッド間のボイド排出性
FC マウントする直前には現実的には基板パッド上に NCF 又は NCP が存在する可能 性が高く、FC マウント時に樹脂残りが多いと導通が安定しない、最悪の場合導通が取れ ないことがあり樹脂残りを極力減らすことが重要である。NCF 及び NCP としてはボイ ド除去性と同様に低溶融粘度、低粘度が導通安定性に寄与すると思われる。
c. フィレット形状均一性
一般に TCT 性とフィレット形状均一性の相関はあると言われており NCF/NCP におい てはその工法上より重要度が増すと考えられる。また高密度実装には欠かせない性質で もあり重要である。写真 3 は低溶融粘度 NCF、写真 4 は低粘度 NCP のフィレット断面 写真である。
写真 3. 低溶融粘度 NCF 写真 4. 低粘度 NCP
2. NCF/NCP の信頼性
2-1 接着強度の耐熱性及び耐湿性
NCF/NCP は汎用 PKG への展開が期待されているため高信頼性であることが必須となる。
1 の作業性の項にて説明したが NCF/NCP 工法では材料の硬化により発現する収縮と接着 強度によりバンプとパッドの接合が保持されるというメカニズムの為、それらの信頼性は 熱及び湿度のストレスによる接着強度の劣化を極力最小限に留めることがポイントとなる。 一般的に信頼性評価項目としては吸湿リフロー、TCT、PCT、高温高湿バイアス試験が挙
ボイド
げられる。そこで接着強度の劣化が原因で剥離が発生する吸湿リフロー、PCT における接 着強度の劣化を測定した。結果を図 4 及び図 5、試験片形状を図 6 に示す。NCF、NCP と もに熱、湿度ストレスによる劣化は見られるとは言え破壊モードは凝集破壊であり良好な 接着強度を保持していることが判明し、信頼性の高い実装体が期待できる。
図1 吸湿リフ ロ ー によ る 接着強度変化
図2 PC T による接着 強度 変化
6
4 NCF
3
2
1
0
初期 耐湿リフロー後
12
NCP
8 NCF
6
4
2
0
初期 PCT後
接着強度試験
吸湿リフロー条件:85℃/85%/24h 吸湿後 260℃ PCT 条件:121℃/2.1atm,100%飽和/200h サンプル:NCF(20umt),NCP
被着体:PI パッシベーション付 Die
硬化装置:FC ボンダー
圧接条件:180℃/20 秒(NCF),240℃/5 秒(NCP) 後硬化:150℃/1h
接着強度:ダイシェアテスター 測定温度:260℃、121℃
2-2 信頼性評価条件
図3. 接着強度測定試験片
試験サンプル
5x5x0.4mm チップ サンプル
10x10x0.6mm チップ
材料での高信頼性が確認された上記 NCF と NCP を実際に Test die による信頼性評価を
行なった。図4に今回使用した TEG、表 5 に評価内容を示す。
Au スタッドバンプ
図4. 使用 TEG
□10mm 0.3mmt チップ
(PI パッシベーション)
□20mm 0.6mmt FR4.5 基板
表 5. 信頼性条件
項目 |
条件 |
確認内容及び NG 判別 |
吸湿リフロー | 85℃/85%/24h 吸湿後 260℃リフロー3 回 |
剥離、50%以上の抵抗値変化 |
TCT |
気相 -55(10 分)~125℃(10 分)/1000h | |
PCT |
130℃/85%/300h | |
恒温恒湿 | 85%/85%/1000h |
2-3 評価結果
下記の通り各評価項目の信頼性結果を示す。今回の TEG 構造に対しては NCF、NCP とも に全ての信頼性を確保できていることがわかった。
3.まとめ
今回開発した NCF、NCP は流動性が高い為ボイド除去性、導通の確保、フィレット形状 の均一性が高く、優れた作業特性を持つことが判った。更に高接着強度が熱及び湿度スト レスによる劣化の少ない、また低線膨張係数、低吸水率であることによる高い信頼性結果 が得られた。一方 NCF/NCP 工法においては組み立て工程により信頼性結果が変化するこ とにより、本工法では材料開発はもとより信頼性評価を含めたプロセスも重要な要因とな る。