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液状エポキシ樹脂組成物

液状エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材及びフリップチップ型半導体装置

出願人 / 発明者 ソマール株式会社  / 小川泰史 
代理人 深谷 美智子  吉村 康男  武井 秀彦  ,

 

以下の情報は、出願公開日時点(2008年12月11日)のものです。

 


技術分野

0001

本発明は、半導体、特にフリップチップ型半導体装置の封止用として、粘度が低く、作業性が非常に良好であり、かつ、感光性ポリイミド、窒化ケイ素膜、酸化膜等を有するシリコンチップの素子表面に対する密着性が非常に良好なアンダーフィル材、及びこのアンダーフィル材で封止されたフリップチップ型半導体装置に関する。


背景技術

0002

携帯電話や液晶及びプラズマテレビ、ノートパソコンなどにおいては、高性能・高集積・小型・薄型半導体パッケージの高密度実装が行われている。その中で、フリップチップ実装は、実装面積を半導体チップと同一寸法まで高密度に実装できるため有力な半導体実装技術と考えられている。

0003

この際、実装基板のはんだ接合部の接続信頼性を向上させるために、基板とチップの間(ギャップ)にアンダーフィル材を充填することが行われている。

0004

そして、感光性ポリイミド樹脂や窒化ケイ素膜等を有するシリコンチップ表面に対する密着性を向上させるため、チップ表面への濡れ性と化学的相互作用を向上させる必要がある。

0005

半導体素子の高集積化に伴い、フリップチップ型半導体装置において、ギャップ間の幅が狭くなり、短時間で効率よくこの隙間に侵入させるために封止樹脂には高流動性であることが必要である。
また、アンダーフィル材の注入は通常60〜90℃程度の温度(作業環境温度)に加温された状況で行われ、作業環境温度下でのアンダーフィル材の粘度を如何に低粘度化するかが課題となっていた。
例えば、粘度を低下させるために溶剤や反応性希釈剤を添加することが、通常よく行われている。しかしこの場合には、加温によって溶剤や反応性希釈剤が大気中に放出されるため、環境による影響が懸念されている。

0006

このため、昨今の環境に配慮した製品として、作業時において溶剤の揮発がほとんどなく低粘度でかつ無溶剤型のアンダーフィル材の開発もされている。
例えば、液状エポキシ樹脂に芳香族アミン硬化剤および無機質充填剤を混合するものが知られている。(例えば、特許文献1)
この場合には、溶剤を使用していないけれども、作業環境温度における粘度はいまだに高く、侵入性を満足できるものではなかった。

0007

特開2004−331908号公報


発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、感光性ポリイミド樹脂や窒化ケイ素膜といったシリコンチップの表面に対する密着性と流動性を改善し、良好な半導体装置の封止材となり得るアンダーフィル材、及びこのアンダーフィル材で封止されたフリップチップ型半導体装置を提供することを目的とする。


課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)融点が40〜60℃であり、かつ、重量平均分子量が360未満であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)芳香族アミン硬化剤、(C)シランカップリング剤による処理を施した無機質充填剤、(D)応力緩和剤を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材であって、90℃における粘度が0.1〜0.3Pa・sであるアンダーフィル材とすることにより、該アンダーフィル材が流動性に優れており、かつ溶剤を使用していないため作業性にも優れ、しかも感光性ポリイミド樹脂や窒化ケイ素膜等を有するシリコンチップの表面に対する密着性と作業性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

即ち、本発明は、以下のアンダーフィル材に加え、このアンダーフィル材で封止したフリップチップ型半導体装置を提供するものである。
〔1〕少なくとも、
(A)融点が40〜60℃であり、かつ、重量平均分子量が360未満であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、
(B)芳香族アミン硬化剤
(C)シランカップリング剤による処理を施した無機質充填剤、
(D)応力緩和剤
を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材であって、該アンダーフィル材の90℃における粘度が0.1〜0.3Pa・sであることを特徴とするアンダーフィル材。
〔2〕(B)芳香族アミン硬化剤が下記一般式(1)で表される芳香族アミン化合物であることを特徴とする〔1〕に記載のアンダーフィル材。

0011

(式中、R〜Rは独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜6の一価炭化水素基、CHS−及びCS−から選ばれる基である。)

化学式1

0012

〔3〕シランカップリング剤がエポキシ系のシランカップリング剤であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のアンダーフィル材。
〔4〕〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載のアンダーフィル材で封止したことを特徴とするフリップチップ型半導体装置。


発明の効果

0013

本発明のアンダーフィル材に用いられるエポキシ樹脂は、従来のエポキシ樹脂と比較して作業環境温度下での粘度が低いためにアンダーフィル材としての低粘度化が可能となるので、特に狭ギャップフリップチップ型半導体装置において、侵入性を向上させることが可能となり、基板とチップ間の接続信頼性を向上させることができる。


発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し、適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲のものである。

0015

本発明のアンダーフィル材は、少なくとも、(A)融点が40〜60℃であり、かつ、重量平均分子量が360未満であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)芳香族アミン硬化剤、(C)シランカップリング剤による処理を施した無機質充填剤、(D)応力緩和剤を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるものである。

0016

本発明のアンダーフィル材に用いられる前記(A)成分としては、融点が40〜60℃であり、かつ、重量平均分子量が360未満である。
融点が40℃未満であると大気中の水分を吸着しやすくなりエポキシ樹脂の保存性が悪くなるからである。融点が60℃超であるとアンダーフィル製造中に固体化しやすくなり、作業性が悪くなるからである。
重量平均分子量が360以上であると作業環境温度下でアンダーフィル材の粘度が十分下がらなくなり、侵入性が悪くなるからである。
前記(A)成分の例としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のYL6810等を挙げることができる。

0017

前記(A)成分中の全塩素含有量は、1,500ppm以下が望ましく、さらに1,000ppm以下であることが好ましい。また、100℃で50%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が10ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が1,500ppmを超え、又は抽出水塩素が10ppmを超えると半導体素子の信頼性、特に耐湿性に悪影響を与えるおそれがある。

0018

次に、本発明に使用する芳香族アミン硬化剤(B)は、例えば、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンフェニレンジアミン、ジメチルトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、1,3−ジアミノベンゼン、メタフェニレンジアミンベンジジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−チオジアニリン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、オルソフェニレンジアミン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらは単独又は混合して用いても差し支えない。

0019

中でも、下記一般式(1)で表される芳香族アミン硬化剤は、低粘度でポットライフが長く、硬化物の機械特性、電気特性、耐熱特性、耐薬品特性に優れるものであり、しかもこの硬化剤を用いることによって、感光性ポリイミド樹脂や窒化ケイ素膜等を有するシリコンチップの表面に対する密着性に優れるため好ましい。

0020

(式中、R〜Rは独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜6の一価炭化水素基、CHS−及びCS−から選ばれる基である。)

化学式2

0021

ここで、R〜R一価炭化水素基としては、炭素数1〜6、特に1〜3のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基アリル基プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基などや、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換したフロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換一価炭化水素基などを挙げることができる。

0022

一般式(1)で表される芳香族アミン化合物として、具体的には、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジメチルトルエンジアミンなどが挙げられる。

0023

なお前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分に対する(B)成分の配合モル比が0.2〜0.5の範囲であることが好ましい。該配合モル比が0.2未満では未反応のグリシジル基が残存し、機械特性・耐熱特性が悪くなるおそれがあるからである。逆に0.5を超えると硬化物が硬く脆くなり、応力緩和性に劣るおそれがあるからである。機械特性・耐熱特性応力緩和性の観点から好ましくは0.25〜0.3の範囲である。

0024

一方、本発明に用いられる無機質充填剤(C)はシランカップリング剤による処理が施されている。シランカップリング剤で表面処理をするのは、エポキシ樹脂との親和性が高まるため、フィラーの凝集抑制、耐湿性・耐熱性の向上、樹脂の流動性向上に寄与するからである。
無機充填剤そのものは線膨張係数を小さくする目的から、従来公知の無機質充填剤を使用することができる。具体的には、溶融シリカ、合成シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、チッカアルミ、チッカ珪素、マグネシア、マグネシウムシリケート、アルミニウムなどが挙げられる。中でも真球状の溶融シリカが低粘度化のため望ましい。
また、カップリング剤の種類としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシランジメチルジクロロシランなど任意のものを使用することができるが、付着効率が高いため2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを使用することが望ましい。

0025

無機質充填剤(C)の配合量としては、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対して50〜500重量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜400重量部の範囲である。50重量部未満では、膨張係数が大きく、冷熱試験においてクラックの発生を誘発させるおそれがある。また500重量部を超えると、粘度が高くなり、薄膜侵入性の低下をもたらすおそれがある。

0026

アンダーフィル材の流動特性はフィラーの粒度分布にも大きく依存する。一般に分布が広く、粒径の大きいフィラーほど、組成物の粘度が低く流動性がよい。しかし、低粘度化を目的に大きな粒径を含むフィラーを用いると、硬化中に粒径の大きなフィラーが沈降し、間隙中の線熱膨張係数が不均一となり、接続信頼性の面で好ましくない。またアンダーフィル材は基材とチップ間(ギャップ)を流動する必要から、フィラー粒径はギャップよりも小さい必要があり、より好ましくは最大粒径がギャップの50%程度かそれ以下が望ましい。逆に粒径が小さすぎると比表面積が増大、高粘度化するため流動性を確保することができなくなる。このため、これらの条件を満足させるためには平均粒径が0.5μm〜15μm、且つ最大粒径が50μm以下のフィラーが好ましい。
接続信頼性と流動性の点から平均粒径が2〜10μm、且つ最大粒径が25μm以下の粒度分布のフィラーを用いることがさらに好ましい。また、フィラーは1種を単独で用いても、または2種以上を混合して用いてもよい。

0027

本発明において使用し得る(D)応力緩和剤としては特に制限はないが、例えば、シリコーンゴム、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のエラストマー、シリコーン系エポキシ樹脂と多価フェノール化合物もしくはフェノール樹脂との反応生成物等を挙げることができる。これらは任意に選択して1種又は2種以上を使用することが出来る。
(D)応力緩和剤の配合量は前記(A)成分100質量部に対し10〜50質量部であることが好ましい。10質量部未満であると応力緩和性が低下する点で好ましくなく、50質量部を超えるとバンプを保護するための機械的強度が低下する点で好ましくない。応力緩和性と機械的強度の点でさらに好ましくは、10〜40質量部の範囲である。

0028

本発明のアンダーフィル材には、更に必要に応じ、カーボンブラックなどの顔料、染料、酸化防止剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。

0029

本発明のアンダーフィル材には、例えば、エポキシ樹脂、芳香族アミン硬化剤、それに無機質充填剤、応力緩和剤や必要に応じてその他の添加剤等を同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶解、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等の装置としては、特に限定されるものではないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を用いることができる。またこれら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。

0030

特に、本発明において、アンダーフィル材の粘度は、作業環境温度下である90℃において0.1〜0.3Pa・sであることが必要である。0.1Pa・s未満であるとチップの周辺に、アンダーフィル材が広がり易くなるため、近接する他の部品の接続部に付着し、機械的強度・耐熱性を悪くするおそれがあるし、0.3Pa・s超であると作業環境温度下でアンダーフィル材の粘度が十分下がらなくなり侵入性が悪くなるからである。
尚、アンダーフィル剤においては、通常その作業環境温度が90℃前後であるため、本発明においては、アンダーフィル材の粘度を90℃における粘度で規定した

0031

次にフリップチップ型半導体装置について説明する。

0032

ここで、本発明に用いるフリップチップ型半導体装置としては、例えば図1に示したように、通常、基板1の配線パターン面に複数個のバンプ2を介して半導体チップ3が搭載されているものであり、上記基板1と半導体チップ3との隙間(バンプ2間の隙間)にアンダーフィル材4が充填されたものとすることができる。基板1は、例えば耐燃性ガラス基材エポキシ樹脂積層板(FR−4基板)を使用することができる。

0033

本発明の液状エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材を用いる場合、その硬化物のガラス転移温度以下の膨張係数は、20〜40ppm/℃であることが好ましい。このような膨張係数とする手段としては、例えば無機質充填剤をエポキシ樹脂と硬化剤の合計100重量部に対して100〜400重量部配合するなどの方法を採用することができる。


実施例

0034

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、常温で固形のエポキシ樹脂については、融点と数平均分子量を評価し、実施例及び比較例のアンダーフィル材については、25℃粘度、90℃粘度、侵入性、耐ボイド発生性、接着力を評価し、アンダーフィル材で封止したフリップチップ型半導体装置については、熱サイクル試験後のはんだ接続部の導通性(以下、[導通性]とする)の評価を行った。その結果を表1に示す。

0035

[融点]
示差走査熱量計(マック・サイエンス社製 DSC3100)を使用し、昇温速度10℃/minにて測定した。

0036

[数平均分子量]
ゲル浸透クロマトグラフィー測定装置(HLC8220GPC、東ソー製)、カラム(TSKgel Super HZM-M 4本、東ソー製)を用い、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。

0037

[25℃粘度]
E型回転粘度計を用いて20rpmの回転数で25℃における粘度を測定した。

0038

[90℃粘度]
レオメータ(REOLOGICA社製 機種名DAR−100)を用いて、せん断応力5.0Pa下で10℃/minのスピードで昇温させ、90℃到達後500秒間ホールドさせた。この90℃における粘度の平均値を算出した。

0039

[侵入性]
2枚の76mm×26mmのスライドガラスの間に約50μmのスペーサを設け、90℃で加熱したホットプレート上に設置する。生じた隙間にアンダーフィル材を溶融・侵入させ、アンダーフィル材がその隙間を10mm埋めたときの時間を測定した。

0040

[耐ボイド発生性]
2枚の76mm×26mmのスライドガラスの間に約50μmのスペーサを設け、生じた隙間にアンダーフィル材を侵入、硬化させ、侵入開始点から10mm以内のボイドの有無を目視で確認し、以下の基準により判定した。
良好:目視でボイドが見えないもの
不良:目視でボイドが見えるもの

0041

接着力
FR−4基板または窒化珪素膜を有する半導体チップの窒化珪素面上に金型を使用してアンダーフィル材を入れ、150℃で2時間硬化させ、直径2mm、高さ2mmの円柱状の試験片を作製した。硬化後、得られた試験片の剪断接着力を測定した。

0042

[導通性]
図1で示しているように、4.2mm×4.6mm×0.3mmの半導体チップをバンプを介して20mm×20mmのFR−4基板に接続した。この半導体チップとFR−4基板の間にアンダーフィル材を注入し、150℃×2時間硬化させ試験片とした。この試験片の抵抗値をインピーダンスアナライザー4194A(横河・ヒューレット・パッカード社製)にて測定し、「初期抵抗値」とした。
次いで、この試験片の熱サイクル試験(−40℃×15分⇔120℃×15分 、1000サイクル)行った。試験後の試験片の抵抗値を同様に測定した。この測定値を「試験後測定値」とした。
抵抗値上昇率を下記一般式(2)にて算出し、以下の基準により導通性を評価した。
良好:抵抗値上昇率が10%未満
不良:抵抗値上昇率が10%以上

0043

数式1

0044

応力緩和剤の合成
シリコーン系エポキシ樹脂(TSL9906、東シリコーン社製)100g、ビスフェノールF(水酸基当量100)27gに触媒として1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデ−7−エン1gを添加し、窒素気流下180℃で3時間反応させた。この反応生成物を応力緩和剤とした。

0045

実施例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量 170、融点45℃)90質量部、溶融シリカ(平均粒子径3.2μm)190質量部、ジエチルトルエンジアミン25質量部、シランカップリング剤(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)2.3質量部、応力緩和剤10質量部を混合し、3本ロールで均一に混練することにより、アンダーフィル材を得た。

0046

実施例2
シランカップリング剤を3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに変更した以外は実施例1と同様に混合し、アンダーフィル材を得た。

0047

比較例1
エポキシ樹脂を25℃下で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、製品名JER 828、ジャパンエポキシレンジ社製)に変更した以外は実施例1と同様に混合して、アンダーフィル材を得た。

0048

比較例2
硬化剤ジエチルトルエンジアミンから、酸無水物(製品名 MHAC−P、日立化成工業社製)84質量部、硬化促進剤(製品名 HX−3722、旭化成ケミカルズ社製)15質量部に変更した以外は実施例1と同様に混合して、アンダーフィル材を得た。

0049

比較例3
エポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170、製品名 JER807、ジャパンエポキシレンジ社製)に変更した以外は実施例1と同様に混合して、アンダーフィル材を得た。

0050

比較例4
エポキシ樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量150、製品名HP−4032D、ジャパンエポキシレジン社製)に変更した以外は実施例1と同様に混合して、アンダーフィル材を得た。

0051

表1

0052

表1から明らかなように、比較例1、比較例3、比較例4においては、90℃粘度が高いために侵入性が悪く、耐ボイド発生性及び導通性に劣ることが理解できる。また、比較例2においては酸無水物を硬化剤に使用しているため、窒化珪素膜に対する接着性及び導通性に劣ることがわかる。
一方、実施例1、実施例2においては、90℃粘度、接着力、侵入性、耐ボイド発生性が良好であり、しかも導通性にも優れることが理解できる。


図面の簡単な説明

0053

本発明のアンダーフィル材を用いて封止したフリップチップ型半導体装置の一例を示す断面図である。


符号の説明

0054

1 基板
2 バンプ
3 半導体チップ
4 アンダーフィル材

準備中です

産業分類 半導体・FPD製造装置製造業バイオ・生体適合材料製造業化学工業製品製造業
技術分類
機能タグ 化ける換える置く
材料タグ
設備タグ
方法タグ
情報更新 2011/09/02
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